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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「……あっ?」と、顔色を変えて、そこへ足を止めてしまった。

玄徳、関羽、張飛。

敵方の三人が、揃いも揃ってそこの席にいたのである。――紀霊にしても驚いたのはむりもない。

呂布は、振返って、「さ。これへ来給え」と、空いている一席を指さした。

しかし、紀霊は、疑わずにいられなかった。恐怖のあまり彼は身をひるがえして、外へ戻ってしまった。

「来給えというのに。なにを遠慮召さるか」

呂布は立って行って、彼の臂をつかまえた。そして、小児の如く吊り下げて、中へ入れようとするので、紀霊は、

「呂公、呂公。何科あって、君はこの紀霊を、殺そうとし給うのか」と、悲鳴をあげた。

呂布は、くすくす笑って、

「君を殺す理由はない」

「では、玄徳を殺す計で、あれに招いておるのか」

「いや、玄徳を殺す気もない」

「しからば……しからば一体どういうおつもりで?」

「双方のためにだ」

「分らぬ。まるで狐につままれたようだ。そう人を惑わせないで、本心を語って下さい」

「おれの本心は、平和主義だ。おれは元来、平和を愛する人間だからね。――そこで今日は、双方の顔をつき合わせて、和睦の仲裁をしてやろうと考えたわけだ。