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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

――たとえば今」と、天を指して、「雲の柱が彼方の山岳をかすめて、すさまじく立ち昇ったかと見えた。だが、雲表の神秘、自然の迅速、誰かよく、その痕跡をとらえて実証できよう」

「古来、龍のはなしは、無数に聞いていますが、まだこれが真の龍だという実物は片鱗も見ませんが」

「否!」

曹操はつよく顔を振って、

「予は見ている! この眼で」

「ほ。左様ですか」

「――だが、神秘の龍ではない。この地上、風雲に会っては起る幾多の人龍だ。要するに、龍は人間だというのが予の自説だが」

「そうもいえましょう」

「君もその一龍であろう」

「いかにせん、電飛の神通力なく、把握の爪なく、隠顕自在の才もありません。まず龍は龍でも、頭に土の字のつく龍のほうでしょうか」

「ご謙遜あるな。……がご辺には、ずいぶん諸国を遍歴もされたであろうゆえ、かならず当世の英雄は知っておられるにちがいない。まず当代、英雄とゆるしてよい人物は誰と誰とであろうか」

「さあ? ……むずかしいお訊ねですな。われらごとき凡眼をもっては」

「いや、君の胸中にある者、誰でもよいから云ってみられい」

玄徳は、彼の執こい眼ざしからのがれたくなって、