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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
「あんな気のふれた乞食儒者に、厳かな列送の礼がとれるものか」
と、誰ひとり真面目に立つ者はいなかった。
ことに、荀などは、ぷんぷん怒りながら、部下の兵に向って、公然と、
「禰衡がここへ出てきても、立って送る必要はないぞ。みんな坐っていてよろしい。あぐらを組んで、あいつが否応なく立ってゆく泣ッ面を見送ってやれ」と、いってはばからなかった。
馬に乗せられた禰衡は、やがて馬の歩むままに、壮大なる東華門のうちからのこのこ出てきた。
馬も使者も、しょぼしょぼとしていたが、内では歓送の声と、旺な音楽がどよめいていた。門を出て見ると、荀の隊にならって、どの兵隊も大将もあぐらを組んでうららかに坐りこんでいる。
「……ああ、悲しい」
禰衡は、馬をとめて、そう咳いていたが、たちまち声をはなって哭きだした。
日向の兵隊も日陰の兵隊もみなゲラゲラ笑い出した。荀※(「或」の「丿」に代えて「彡」、第3水準1-84-30)は心地よげに、禰衡を見てからかった。
「先生。――晴れの首途に、何をそんなに泣くのでござるか」
すると禰衡は言下に答えた。
「見まわせば、数千の輩が、みな腰をぬかして、立つことを知らない。