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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

もし、変を生じたらどうしますか」

と、伝令をとめて、曹操に諫言した。

曹操は、快然一笑して、

「関羽がもし約束を詐るような人物ならば、なんで予がこれほど寛大な条件を容れよう。――またそんな人間ならば、逃げ去っても惜しくない」

といって、ためらいなく全軍を遠く開かせた。

小手をかざして山上から兵霞の退くのをながめていた関羽は、やおら黒鹿毛をひいて麓にくだり、無人の野を疾駆して、間もなく下※(「丕+おおざと」、第3水準1-92-64)城に着き、城内民安穏を見とどけてから城の奥へかくれた。

深院の後閣、哀禽の音が昼をひとしお寂としていた。

番兵が秘扉をひらいて、彼を簾外へいざなうと、玄徳の妻室甘夫人と、側室の糜夫人は、

「オオ、関将軍か」と、幼児の手をひいてまろび出てきた。

「和子さまにも、おふた方にも、おつつがなくお在せられましたか」

関羽は、階をへだてて平伏し、二夫人の無事をながめた安心やら……こもごもな感慨につつまれて、しばらくは面も上げなかった。

糜夫人は涙ながら、

「夕べ、落城となって、死を決めていましたが、思いのほか、殺されもせず、このとおり曹操から手厚く守られています。