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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
「いるではないかっ」
「なぜはやく面を見せんかっ」いわしておいて、善信はその間に円座をとり寄せ、入口のわきの広床へ、客の敷物もめいめいに配らせて、
「上がられい」と、慇懃であり、あくまで物静かである。
そういう作法や鄭重は、暴客たちにはかえって苦手である。赤いまばら髯の中から、熊鷹のような眼をひからせている大法師が、拳を振って、善信の冷静を打ち砕いた。
「馬鹿っ、ふざけるなっ。さような悠長な話で来た吾々ではない、事は、山門の体面にかかわるほど重大なのだ。おぬしの首をもらうかも分らない。ここで、罪状を申し聞かすから答弁してみい」
五
暴客の暴言を浴びながら、善信はその前に神妙に坐っていた。
「耳のない顔するなっ」荒法師たちは、あまりに反射のない彼の態度に、こう鬼面をもって脅しつけながら、
「――よいか善信。これから申すことに一々答弁が立たん時は、この小屋をぶっ潰し、汝の首を薙刀の先に梟けて、山門のみやげに持ち帰るぞっ」
「…………」微笑を見せて、善信はうなずくのであった。
「第一には――」と、荒法師のひとりが、山麓できたえた声に底力をこめて云いだした。
「わが聖域たる叡山のうちへ、密偵を入れこみたる理由はいかん」