輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
――と急に、御所のあの生活へもどるのが嫌になった。たそがれの灯を見るにつけ、そこにある幾多の醜いものが瞼にういてきて、
(だが、帰らなければならない)と思うと、よけいに足がすすまないのであった。
鈴虫も、同じような気持らしかった。あのよく笑ってばかりいる、はしゃぎやの彼女が、じっと、深い眼をして、階段を下り、自分の穿物をさがし、そして暗い大地へ、黙り合って足を運びだしたのである。
――すると、廻廊の筵を巻いていた若い僧が、
「お……」と、声をかけた。
四
「松虫様ではありませんか」先では、こういって、馴々しくほほ笑みかけながら近づいてきたのであったが、
「どなた?」松虫には、思い出せなかった。鈴虫にも考えつかない若僧であった。
若僧は、側へ来て、いんぎんに礼儀をして、
「安楽房でございます」といった。
それでもまだふたりが不審な顔をしているので、
「私は今、法友の住蓮と二人して、この鹿ヶ谷に住み、今日もかように吉水の師の房を迎えて、幸いに、盛な法筵を営みましたが、ずっと以前、師の君に随身して、仙洞御所へうかがったことがございます。その折、あなた様にも、鈴虫様にも、お目にかかっておりました」