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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
六
「え。では貴様の旧主のご息女なのか」
「まだ義盟を結ばない数年前のはなしだが、その芙蓉娘と玄徳様とは、黄匪に追われて、お互いに危うい災難に見舞われていた頃、偶然、或る地方の古塔の下で、出会ったことがあるので、とっくに双方とも知り合っていた仲なのだ」
「え。そんなに古いのか」
関羽が呆れ顔した時、室の外に誰かの沓音が聞えた。
六
主の劉恢であった。
劉恢は、室内の様子を見て、
「おさしつかえないですか」と、二人の許しをうけてから入ってきた。そしていうには、
「困ったことができました。数日の内に、洛陽の巡察使と定州の太守が、この地方へ巡遊に来る。そしてわしの邸がその宿舎に当てられることになった。当然、あなた方の潜伏していることが発覚する。一時どこかへ隠れ場所をお移しなさらぬと危ないが」
という相談であった。
折も折である。
関羽、張飛も、一時は途方にくれたここちがしたが、むしろこれは、天が自分らの懶惰を誡むるものであると思って、
「いや、ご当家にも、だいぶ長い間の逗留となりました。そういうことがなくても、このへんで一転機する必要がありましょう。いずれわれわれども三名で相談の上、ご返辞申しあげます」