輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
一度、商人の手に移ると、莫大な値になって、とても自分の貧しい嚢中では購えなくなるからであった。
またたく間に、市の取引は終った。仲買人も百姓も物売りたちも、三々五々、夕闇へ散ってゆく。
劉備は、船の商人らしい男を見かけてあわててそばへ寄って行った。
「茶を売って下さい、茶が欲しいんですが」
「え、茶だって?」
洛陽の商人は、鷹揚に彼を振向いた。
「あいにくと、お前さんに頒けてやるような安茶は持たないよ。一葉いくらというような佳品しか船にはないよ」
「結構です。たくさんは要りませんが」
「おまえ茶をのんだことがあるのかね。地方の衆が何か葉を煮てのんでいるが、あれは茶ではないよ」
「はい。その、ほんとの茶を頒けていただきたいのです」
彼の声は、懸命だった。
茶がいかに貴重か、高価か、また地方にもまだない物かは、彼もよくわきまえていた。
その種子は、遠い熱帯の異国からわずかにもたらされて、周の代にようやく宮廷の秘用にたしなまれ、漢帝の代々になっても、後宮の茶園に少し摘まれる物と、民間のごく貴人の所有地にまれに栽培されたくらいなものだとも聞いている。
また別な説には、一日に百草を嘗めつつ人間に食物を教えた神農はたびたび毒草にあたったが、茶を得てからこれを噛むとたちまち毒をけしたので、以来、秘愛せられたとも伝えられている。