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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
「やい。どこまで行く気だ」
眼をさますと、張飛は、乗っている驢にたずねた。驢は、てこてこと、軽い蹄をただ運んでいた。
「おや、なんだ?」
役所の門前をながめると、七、八十名の百姓や町の者が、土下座して、なにか喚いたり、頭を地へすりつけたりしていた。
張飛は、驢をおりて、
「みんな、どうしたんだ。おまえら、なにを役所へ泣訴しておるんだ」と、どなった。
張飛のすがたを見ると、百姓たちは、声をそろえていった。
「旦那はまだなにもご存じないんですか。勅使さまは、県の吏人に、訴状を書かせて、都へさし送ったと申しますに」
「なんの訴状をだ」
「日頃、わしらが、お慕い申している、尉の玄徳さまが、百姓いじめなさるとか、苛税をしぼり取って、私腹を肥やしなすっているとか、何でも、二十ヵ条も罪をかき並べて、都へその訴状が差廻され、お沙汰が来次第に罰せられるとうわさに聞きましたで。……わしら、百姓どもは、玄徳さまを、親のように思っているので、皆の衆と打揃うて、勅使さまへおすがりにきたところ、下吏たちに叩き出され、この通り、役所の門まで閉められてしもうたので、ぜひなくこうしているとこでござりまする」