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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

その前に、旗下の曹仁が、彼に向って注意した言葉を、彼はふと胸に思い出した。

それは、こういうことだった。

「呂布の大勇にはこの近国で誰あって当る者はありません。それに近頃彼の側には例の陳宮が付き従っているし、その下には文遠、宣高、萌などとよぶ猛将が手下に加わっておるそうです。よくよくお心をつけて向わぬと、意外に臍を噛むやも知れませんぞ――」

曹操は、その言葉を今、胸に反復してみても、格別、恐怖をおぼえなかった。呂布に勇猛あるかも知れぬが、彼には智慮がない。策士陳宮の如きは、たかの知れた素浪人、しかも自分を裏切り去った卑怯者、目にもの見せてやろうと考えるだけであった。

一方。

呂布は、曹操の襲来を知って、藤県から泰山の難路をこえて引っ返して来た。彼もまた、

「曹操、何かあらん」という意気で、陳宮の諫めも用いず、総軍五百余騎をもって対峙した。

曹操の炯眼では、「彼の西の寨こそ手薄だな」と見た。

で、暗夜に山路を越え、李典、曹洪、于禁、典韋などを従えて、不意に攻めこんだ。

呂布はその日正面の野戦で曹操の軍をさんざんに破っていたので、勝戦に驕り、陳宮が、

「西の寨が危険です」