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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
それも道理。街道口の城門は、今、さかんに焼けていた。長い城壁は一連の炎の樋となって、火熱は天地も焦がすばかりである。
「どうッ。どうッ。どうッ……」
熱風を恐れて駒は狂いに狂う。鞍つぼにも、へも、パラパラと火の粉は降りかかる。
曹操は、絶望的な声で、
「悪来。戻るより外はあるまい」と、後ろを見て云った。
悪来は、火よりも赤い顔に、眦を裂いて睨んでいたが、
「引っ返す道はありません。ここの門が幽明の境です。てまえが先に馳け抜けて通りますから、すぐ後からお続きなさい」
楼門は一面焔につつまれている。城壁の上には、沢山な薪や柴に火が移っている。まさに地獄の門だ。その下を馳け抜けるなどは、九死に一生を賭す芸当より危険にちがいない。
しかし、活路はここしかない。
悪来の乗っている馬の尻に、びゅんッと凄い音がした。彼の姿はとたんに馬もろとも、火焔の洞門を突破して行った――と見るや否、曹操も、戟をもって火塵を払いながら、どっと焔の中へ馳けこんだ。
一瞬に、呼吸がつまった。
眉も、耳の穴の毛までも、焼け縮れたかと思われた時は、曹操の胸がもう一歩で、楼門の向う側へ馳け抜けるところだった。