Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens

Aozora Bunko

中は暗い。

だが、破れた窓から星明りはかすかに射す。沢庵は、薪の束に腰をおろし、又八は莚のうえに首を垂れている。いつまでも無言であった。剃刀は、沢庵の手にあるのか、そこらの上に置いてあるのか、気になりながらも、又八の目には見あたらない。

「又八」

「…………」

「槐の下を掘ったら何が出たか?」

「…………」

「わしなら掘り出してみせる所じゃがのう。だが鉄砲ではないぞ。無から有をだ。空なる夢土から世の中の実相をだ」

「……はい」

「はい、というたところで、おぬしにはその実相も何も分っておるまいが。――まだ夢ごこちに違いない。どうせおぬしは嬰児のようなお人よし。噛んでふくめるように教えてやるほかはあるまいなあ。……これ、おぬしは今年幾歳になる」

「二十八になりました」

「武蔵と同年じゃなあ」

そういわれると又八は、両手を顔にやって、しゅくしゅくと哭き出した。

七

泣きたいだけ泣かしておけといわぬばかりに、沢庵は黙ってしまった。そして又八の嗚咽がようやくしずまるとまた口を開いた。

「怖ろしいとは思わぬか。槐の木はおろか者の墓標になるところじゃった。おぬしは自分で自分の墓穴を掘っていた。