Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens

Aozora Bunko

四

武蔵どのにお会いになったら、どうぞまいちど、京の本阿弥の辻へ立ち寄ってくださるようお伝えおきを」

「承知いたしました。では、ごきげんよう」

「オ。おやすみ……」

山門の陰の月ささぬ闇を境にわかれて、光悦と妙秀尼は坊舎の方へ。――権之助は伊織と共に、山門の外へ出た。

土塀の外は、自然の濠を繞らしたような渓流であった。そこの土橋へかかるや否、何か白いものが、物陰からさっと権之助のうしろへ襲いかかり――伊織はあッという間もあらず、土橋の外へ足を踏みはずしていた。

四

――ざんぶ!

飛沫のなかに、伊織ははね起きていた。流れは迅いが、水は浅い。

(何だろ?)

咄嗟なのだ。どうして墜ちたのか、自分でもわからない。

だが、土橋の上を仰ぐと、そこから自分を抛り飛ばした勢いのものが、何ものをも交えず、真空の一圏内を作って対峙していた。

その一方は、権之助へふいに襲いかかった白いものだ。伊織がはね飛ばされて落ちたせつな――白いものと見えたのは、彼の白衣であった。

「あっ、山伏?」

伊織は、さてこそ、来るものが遂に来たなと思った。何のゆえか、おとといから自分たちを尾けていたあの山伏なのだ。