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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens
四
「お帰りなさいまし」
出迎える召使たちへ、
「うむ」
と、応えて、
「佐々木どのは、きょうは家におるか、それとも外出か」
角兵衛はすぐ訊ねた。
四
――今日は終日、家にいた様子だし、今も、寝転んで涼んでおります、と召使から聞いて、
「そうか。では、酒の支度をしての。支度ができたら、佐々木どのを、こちらへお呼びして参れ」
――その間に、風呂に入ってと、角兵衛はすぐ汗になった衣服を脱ぎ、風呂場で浴衣になった。
書院へ出て来ると、
「お帰りか」
小次郎は、団扇片手に、先へ来て坐っていた。
酒が出る。
「まず、一盞」
と、角兵衛は酌いで、
「きょうは、吉い事があるので、それをお聞かせしたいと存じてな」
「ほ。……吉い事とは」
「かねて、其許の身を、御推挙しておいたところ、だんだん殿にも其許の噂を耳にされ、近日、連れてこいということになったのじゃ。――いやもう、ここまで運ぶには、容易ではない。何しろ、家中の誰や彼から、推挙しておる人間もずいぶん多いからの」
さだめし小次郎が欣んでくれるに違いない。角兵衛は正直に期待していた。
「…………」
小次郎は、無言のまま、杯の端を唇へつけて、聞いていたが、