Japanese reading practice

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens

Aozora Bunko

四

城太郎は咄嗟に、相手がさして警戒するほどな者でないと思って安心したらしく、身を落着けて、ただ、その人影を見上げた。

――おや? と沢庵がいったのは、気を失っているはずの者が、そこに坐っていたからであったが、双方からじっと姿を眺め合っているうちに、その「おや?」という一語は、そのまま重大な愕きを両方に持つ言葉となっていた。

沢庵から見た城太郎は、余りに体も大きくなっていたし、顔も姿もちがっていたからややしばらくは分らなかったが、城太郎から見た沢庵は一目で沢庵とすぐ知れた筈であった。

四

「城太郎ではないか」

沢庵はやがて、眼をみはっていった。

自分を仰いだと思うと、その城太郎が、はっと、手をつかえてしまった容子に、沢庵も眼を注いで、初めてそれと気づいたのであった。

「はい。……はい、さようでございまする」

沢庵の姿を仰ぐと、以前の洟垂れ小僧に返って、彼はただ恐れ入るばかりな容子だった。

「ふうむ、そちがあの城太郎か。いつの間にやら大人びて、たいそう鋭い若者になったものよの」

彼の成人ぶりに愕いて、沢庵は眺め入っていたが、何はともあれ、伊織を手当てしてやらなければならない。