Japanese reading practice

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens

Aozora Bunko

五

で役人からいい渡された罪状もよく耳には通らないのであった。

「打てっ」

床几へつくと、すぐその役人は厳しい声でいった。すると、先刻から割竹を持って後ろに屈んでいた二人の小者が、躍り出して、

「一イっ、二ウ……。三イ!」

数えながら又八と朱実の背を撲り出した。又八は、悲鳴をあげた。朱実はまっ蒼な顔を俯伏せたまま、歯の根で怺えている容子だった。

「七ア! 八ア! 九ツ!」

割竹は割れて、竹の先から煙が立つように見えた。

五

原の外の往来に、ぼつぼつ人が立ち止まって、遠くから眺めていた。

「なんでしょう」

「お処刑さ」

「ア。百叩きですか」

「痛いだろうな」

「痛いでしょうね」

「まだ百には、半分もあるよ」

「勘定していたんですか」

「……ア。もう悲鳴も揚げなくなってしまった」

棒をかかえて、刑吏がやって来た。その棒で草を叩いて、

「立っちゃいかんっ」

往来の者は、歩き出した。振顧ってみると、百叩きも終ったらしく、撲り役の小者は、ささらのようになった割竹を抛りだして、肱で汗をこすっていた。

「ご苦労でござった」

「御大儀で」

沢庵と、主なる役人とは、正しく礼儀を交わし合って、立ち別れた。