Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens
二
若い新蔵には、およそ苦手な応対であった。ヘタをいえば揚足を取る。一喝や二喝ではおどろかない。時々、皮肉な歯を見せてせせらわらう。
無礼者っ。
と、柄の音でも聞かせてやりたくなるが、短気は負けだと思うし、またそんなことをしても効果があるかどうかも、このばばには疑わしいと思われた。
「――父は留守だが、まあ、それへ腰かけてはどうだな。わしで分る話なら、わしが聞いておこうではないか」
虫を抑えていってみると、これは新蔵が予期していた以上、効き目があって、
「大川の畔から、牛込まで歩いて来るのも、容易ではないがの。実は足もくたびれているところ、おことばに甘えて掛けようか」
すぐ式台の端へ腰をおろして、脚をさすり出したが、舌の根はくたびれる気色もなく、
「これ、お息子よ。――今のように、物柔らかにいわれると、このばばも、つい大声したことが、面目のうなるが、それでは用向きを話すほどに、安房どのがお帰りなされたら、よう伝えてたもれよ」
「承知した。して、父の耳へ入れたいとか、注意したいとかいうた用件とは」
「ほかでもない。作州牢人の宮本武蔵がことじゃ」
「ム。武蔵がどうしたか」