Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens

Aozora Bunko

三

はははは……だが、考えると、罪ッぽいことをした」

「なんの。何が罪ッぽいことがあろうぞ。わしに取れば」

「いやもう、そのお恨みばなしは先日も」

「そうじゃ。わしも、こうしてはおられぬ……いずれまた、程経て、下ノ庄の屋敷へ遊びに来やい」

「では、御老婆様。そこからの間道は、道が悪うございます。お気をつけて」

「そなたも、人中へ出たら、口に気をつけやい」

「はいはい。口は至って堅い万兵衛、その辺はどうぞご安心を……」

いいながら、別れて、足さぐりに暗い石段へかかったと思うと直ぐ、ぎゃッ――とそれ限りなひと声をあげて、地へ仆れた。

お杉ばばは、振り向いて、

「どうしやった? 万兵衛ではないか。万兵衛……」

と、地を透かして呼んだ。

三

――答える筈もない。万兵衛はすでに、この世の息をしていないのだ。

「……ア、あ?」

ばばは、息を嚥んで、その万兵衛の横たわっている側に、ぬっと見えた人影に眼をこらした。

刃。――血ぬられたその太刀。ぎらりと引っ提げている。

「……た、たれじゃ?」

「…………」

「誰じゃ。……名を、名を吐かしおろう」

ばばは、乾いた声を無理に張っていった。

このばばの、年がいもない虚勢と、恫喝する病は、今なお止まないものとみえる。