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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens

Aozora Bunko

五

「面倒」

と、引っ抱えて、御堂の裏へ駈けて行った。

そこに、この祠を建てる時に、断り削いだ崖の断面があり、その下に、やっと人間が這って出入りできるくらいな洞穴があった。

五

佐用の部落であろう、彼方に、灯が一つ、ポチと見える。

山も、桑畑も、河原も、ただ広い闇だった。――そして、今越えて来たうしろの三日月の峠も。

足に、石ころを踏み、耳に佐用川の水音を聞くと、

「おい。待てよ」

と、うしろの一人は、前へ行く二人を呼びとめた。

その二人は、素縄で後ろ手に縛げたお通を、囚人のように、引っ立てていた。

「どうしたか、後から直ぐ行くといったおばばが、まだやって来ぬ」

「ウム、そういえば、もう追いついて来そうなものだが」

「きかぬ気でも、ばばの脚では、間道の上りが、ちと骨なのだろう。手間取っているに違いない」

「ここらで一休みしていようか。――それとも佐用まで行って、二軒茶屋でも叩いて待つとするか」

「どうせ待つなら、二軒茶屋で一杯やっていようじゃないか。……こういうお荷物を曳っぱっていることだし」

で、その三名が水明りを探って、浅瀬を越えかけた時である。

「おおオいっ」