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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens
二
「……ム。では余五郎どのは、単身でその小次郎の所へ」
「返り討ちにおなりなされたのです。死骸として、裏山の崖から発見された前日の夕方、花屋のおやじが、それらしいお姿を、附近で見かけたということで……かたがた、小次郎が手にかけて、崖へ死骸を蹴込んでおいたことは、もはや疑う余地もございません」
「…………」
話はそこで断れて、幾人もの若い眸は、断絶した師家の怨みを、落葉の煙の中に悲痛に見つめ合っていた。
二
「で? ……」
新蔵は火にほてった顔を上げ、
「それがしに相談とは」
青年の一人が、
「師家の今後です。それと、小次郎に対するわれわれの覚悟のほどを」
他の者がまた、
「あなたを中心に決めておきたいというわけで」
と、いい足した。
新蔵は考えこんでしまう。――青年たちは、なお口をきわめて、
「お聞き及びかも知れぬが、佐々木小次郎は、折も折、細川忠利公に抱えられ、すでに藩地へ向け旅立ったということだ。――遂に、吾々の師は憤死せられ、御子息は返り討ちにあい、しかも同門の多数も彼に蹂躙されたまま、彼が栄達の晴れの退府を、空しく見ていなければならないのか……」
「新蔵どの、残念ではないか。