Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens

Aozora Bunko

怖れてか、争いを避けてか、胤舜は、きょうは姿を見せていない。病気ということが理由になっていた。南光坊は存分に、宝蔵院の現門下を蹂躙し尽したかのように、やがて立てていた槍を横に直した。

「では、わしは退がろう。――もはや敵なしじゃ」

すると、

「待った」

ぱっと、一僧が、槍を斜に持ったまま、躍り出した。

「胤舜の門下、陀雲」

「お」

「お相手に」

「ござれ!」

二人の踵からぱっと土が煙る。跳び別れた途端、槍と槍は、もう生物のように睨め合っている。

(終りか)

と、失望していた見物は、歓呼をあげて狂った。

だが、群衆はすぐ、窒息したように黙った。カーンと強い音響を聞いた時、それは槍が槍の柄を打ったのかと思ったら、陀雲という法師の頭が、南光坊の槍で撲り飛ばされていたのである。

風に打たれた案山子のように陀雲の体は横に仆れていた。わらわらと、溜から三、四名の法師が駈け出たので、さては喧嘩かと思っていると、陀雲の体をひっ担いで退がって行ったのである。

――後はまた、誇りに誇った南光坊が、いよいよ肩を昂げて立っている姿しかなかった。

「健気者が、まだ少しは、いるらしいな。