Japanese reading practice

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens

Aozora Bunko

「なぜ」

「きのう柳生兵庫様達と、興福寺の前で別れた時から、間もなく、後になったり先になったり……」

「いいじゃないか。人間みな、思い思いに歩いているのだから」

「そんなら、宿屋なんか、べつな家へ泊ればいいのに、宿屋まで一つ所へ泊って」

「いくら尾行られても、盗まれるほどな金も持っていないし、心配はない」

「でも、命という物を持ってるから、空身とはいえないよ」

「ははは。命の戸締りはわしもしている。伊織は確かかな」

「おらだって」

見るな――と止められるほど、つい後ろが振向きたくなる。伊織は、左の手を、野差刀の鍔の下から離さなかった。

権之助にしても、余りいい気持はしない。山伏の顔には見覚えがある。それはきのう宝蔵院の試合興行の折に、飛入りを望んで出て断られたあの山伏なのだ。どう考えてもこっちには付き纏われる覚えがない。

「おや、いつのまにか、消えちまった」

また、伊織が振向いていう。権之助も振顧る。

「多分、飽きてしまったのだろう。やれやれ、さっぱりした」

その晩は、葛木村の民家に泊めてもらう。翌日は早目に、南河内の天野郷にはいり、清流に沿っている門前町の低い軒ならびを覗き歩いて、