Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens
また、この優雅と、心のひろさがあったので、遂に、百年の戦を経ても、ここの堂塔は今もなお、皇土のうえに厳然と在るのでございます。有難いことではございませんか」
と、いいむすぶ。権之助は、ほっと、息づきをし直しながら、
「いや、ここの御山が、そういう尊い戦の址とは、はじめて承知しました。知らぬことといいながら、先ほどは、卒爾なおたずねを致しおゆるし下さい」
「いいや、もう……」
光悦は手をふって、
「実をいえば、手前こそ人恋しくいたところで、きょうもきのうも胸に鬱していたものを、誰かに語りたくてならなかった折なのです」
「また、つまらぬお訊ねをして、お笑いを受けるかも知れませぬが、光悦どのには、もうこの寺に永くご逗留でございますか」
「されば、今度は、七日ばかりになりまする」
「やはり御信仰で」
「いえ、母がこのあたりの旅が好きなのと、自分もこの寺に参ると、奈良、鎌倉以後の、画やら仏像やら漆器やら、いろいろ名匠の作品を見せていただけるので……」
朧な地に影を曳いて――光悦と妙秀尼、権之助と伊織、ふた組になって、いつか金堂から食堂のほうへ歩いていた。
「――ですが明日の朝はもう立とうと存じます。