Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens
二
と、何がなし、心待ちの人と会う日も、近い心地を、覚えていた。
ばばもまた、あれ以来は、
(きょうまでの、わしが罪と、心得違いより、そなたを不幸にした償いには、きっと、武蔵どのへ、ばばが両手をついて詫びても、そなたの身を、よいように頼んで進ぜるぞよ)
そういって、一族の者はもとより村の誰彼へも、お通と又八との、かつての古証文は、きれいに破棄して、やがてお通の良人たる人は、武蔵でなくてはならないと、自分の口からいうほどに変っていた。
武蔵の姉のお吟は、ばばがまだこういう気持にならない前には、彼女を呼び出すために嘘をいって、佐用村の附近にいるようなことをいったが、事実は、武蔵が出奔後、播磨の縁類へ一時身を寄せ、そこから他家へかたづいたとかいうのみで、その後の消息は、伝わっていなかった。
で――。七宝寺に戻って、以前からの知辺といえば、やはり誰よりもおばばとが濃い仲だった。そのおばばはまた、朝晩に七宝寺を見舞って、
(薬は服んだか。――食べ物は。――きょうの気分は?)
と、真心のありたけを傾けた、看護の世話をしてくれたり、また、心を力づけてくれるのだった。