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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens
――お身らすべての者が、驕惰だとは申さぬ。だが、この中には、そうした者もおると見た。その悪風を一掃して、小野の道場は、正しい、若々しい、時代の苗床とならねばならぬ。――そうせねば、忠明が身を退いて、改革いたす意味もないことになろう」
沈痛な彼の誠意は、ようやく弟子たちの肺腑へ沁み透ってきた。
弟子の座に居ならぶ者は、みな頭を垂れて、師の言葉を噛みしめながら、自分たちも反省した。
「浜田」
忠明が、やがていった。
浜田寅之助は、ふいに、名を指されて、
「はっ」
と、師の顔を見た。
忠明の眼は、彼をきっと睨めすえていた。
寅之助は、その眼に、さし俯向いてしまった。
「立て!」
「はい」
「立て」
「は……」
「寅之助、立たんかっ」
と、忠明は、声を励ました。
三列に坐っている弟子たちの中から、寅之助だけ直立した。彼の友達や後輩たちは、忠明の心を測りかねて、しんとしていた。
「寅之助、おぬしを、今日限り、破門する。――将来、心を改め、修行を励み、兵法の旨にかなう人間となった時は、また、師弟として会う日もあろう。――去れっ」
「せ、先生っ。理由を仰っしゃってください。拙者には、破門される覚えはございませぬが」