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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens
に、さながら、今、身をつつまれているのだった。
舞台に坐って、笛を構え、撥を把っている、古雅な近衛舎人たちの風俗を写した山神楽師の、怪しげな衣裳も、金襴のつづれも、庭燎の光は、それを遠い神代の物に見せるのである。
ゆるい大鼓の撥音が、あたりの杉木立にたかく谺する。それに縺れて、笛や太鼓の前拍子がながれ、舞台には今、神楽司の人長が、神代人の仮面つけて――頬や顎の塗りの剥げているその貌を、おおらかに舞いうごかして――「神あそび」の歌詞を謡っていた。
神がきの、みむろの山の
さか木葉は
神のみまえに、しげりあいにけり
しげりあいにけり
人長が、一つの詞を謡い終ると舎人らは、段拍子を入れ、畳み拍子と、楽器をあわせて、舞と楽と歌とが、ようやく一つの早い旋律を描き出して、
すめ神の、みやまの杖と、
やま人の、ちとせを祈り
きれるみ杖ぞ
きれるみつえぞ
また――
この鉾は、いずこの鉾ぞ
天にます
豊おか姫の、宮の鉾なり
みやのほこなり
神楽歌の幾つかは、武蔵も幼い頃には覚えていたものである。自分が仮面をつけて、故郷の讃甘神社の神楽堂で、舞ったりしたことなども、思い出された。
よもやまの