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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens
老いたるほうは連れの者を城太とよび、若い方は一方を、おやじ様とよんでいる。
(この盗賊は親子だろうか)
伊織はそう考えて、なおさら怖ろしく思った。そしてもとより、自分の力では到底捕まえることはむずかしいが、二人の帰ってゆく住家をつきとめて、後から官へ訴えて出れば、自然、武蔵のむじつの罪もはれて、牢から解かれて来るにちがいない――と信じるのであった。
彼の考えているように、そううまく行くかどうかは疑問だが、三峰の怪盗と直感した彼の童心のひらめきは、そう見当違いなものでもないらしい。
あたりに人もなしと思って、大声で語り合ってゆく話しぶりといい、また、あれからのこの両名の行動といい、いよいよ怪しい節ばかりなのである。
川越の町はもう沼みたいにしいんと眠りに落ちていた。灯のない屋なみを横に見て、二頭の荷駄は首塚の丘へのぼって行った。登り口の道ばたに、
首塚の松
このうえ
と、標した石があった。伊織はその辺から崖の中へ紛れ込んだ。
丘の上には、巨きな一本松がみえる。その松に一頭の馬が繋いであった。そして松の根かたに三人の男が――旅支度をした牢人ていの者どもが――膝を抱えて待ちあぐねていたが、ふと立ち上がって、