Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 350,912 characters · 702 screens

Aozora Bunko

「お詫び申さねばなりませぬ」

と、新蔵は、頭を下げて――

「みな、てまえのことからご迷惑を」

「いや、お身のことは、枝葉に過ぎない。原因はもっと遠いところにあるのです。小次郎とこの武蔵との間に」

「その佐々木小次郎のために、またしても、小幡老先生の御子息、余五郎どのが、殺害されました」

「えっ、あの子息が」

「返り討ちです。わたくしが仆れたと聞かれたので、一途に、彼奴を狙って、かえって落命なされたのでした」

「……止めたのに」

武蔵は、いつか小幡家の玄関に立った若い余五郎の姿を思いうかべ、可惜――と心のうちで、つぶやいた。

「しかし――御子息のお気もちも分るのです。門下はみな去り、かくいうてまえも仆れ、老先生も先頃病死なされました。――今は、というお気もちを抱いて、小次郎の家へ襲ってゆかれたものと察しられます」

「うむ。……まだわしの止め方が足らなかった。……いや止めたのが、かえって、余五郎どのの壮気をあべこべに駆りたてたかも知れぬ。かえすがえすも惜しいことを」

「――で、実はわたくしが、小幡家の跡を継がねばならぬことになりました。余五郎どののほかに老先生のお血筋もないので、すでに絶家となるところ、父安房守から柳生宗矩様へ実情を申しあげ、お骨折りで、師の家名だけは、養子の手続きを取って、残ることに相成りました。