Clásicos japoneses con furigana
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チベットりょこうき
チベット旅行記
河口 慧海
Lee チベット旅行記 (チベットりょこうき) de 河口 慧海 (かわぐちえかい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 531.520 caracteres · 1042 pantallas
この法林道場に来まして私は一種の非常なる感情に打たれました。いかにも釈迦牟尼如来に訣れを告げてこれから帰るとはいうたものの、せっかく日本人としてこの国に来て居ながら、どうも日本人ということを言明かさずにおめおめ帰って行くというのは意気地のない話だ。何とか他の人々に禍いの及ばぬようなよい分別がないものか知らん。死ということは無論どこへ行っても免れない。早く死ぬか晩く死ぬかいずれとも死ぬに極って居る。この際死を的にして一つ法王政府に、私は日本人であるということを知らしてやろうか知らん。こういうよい文章(上書文)が出来たのに、この文章を示さずに殺してしまうというのは残念だと、非常な刺戟に打たれつつ出て参りましたが、不思議にもその法林道場の辺際より、ギョクポ・ペブという奇態な大声が聞えました。
これはチベット語で和訳しますと、早くお越しなさいということで、一体この今の言葉は誰人が誰に話しかけたのかと、怪しんであたりを見回しますと誰も居らない。ただ夕陽が法林の樹枝に映って美しき緑光が放って居るばかりで……。が鶯の声でもないに何の声であろう。我が心中の迷いの声ででもあろうかなどと思うて二、三歩歩行ますと、また不思議にもギョクポ・ペブという美しい大きな声が聞えました。