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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
又平は愕然とした。殆んど跳びあがりそうになり、刀の柄に手をかけた。
「――三郎か」
またそう呼びかけた。
「万三郎か、斧田か、――」
又平はあっと思った。そしてやはり低い声で答えた。
「貴方は誰です」
「休之助だ」
又平は藪をかき分けてそっちへいった。雑木林の側に、萱笠をかぶり雨合羽を衣て、休之助が立っていた。
「甲野さんですか、斧田です」
「しっ、人が来る」
休之助が制止した。二人はそこへ跼んだ。
提灯を持った男を先に、六七人の男女が結城のほうから来て、黙々と、二人の前を右へと通り過ぎていった。――かれらは白い晒木綿で包んだままの、小さな棺を担いでいた。たぶん赤児の葬いであろう。誰もものを云わず、まるで影絵のように、黙って通り過ぎたのであった。
「よくわかりましたね」
「来るのを見ていたんだ、こんな処に隠れて街道を見張るようすだから、二人のうちのどちらかだろうと思ったのさ、――三郎はどうしている」
「いま町へいっています」
「つなもいっしょか」
「いやつなさんは」
又平はかい摘んで、これまでの事情を語った。休之助は諄いことは嫌いである、しまいまで聞かないうちに遮った。