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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
五
「よければ私もまいりましょう」
沢野雄之助が云った。だが徹之助は首を振って、紀州の田辺を探索する必要があるし、それには少なくとも三人はゆかなければならないからと云った。
「田辺へは私がゆきます」
休之助があとへひかない調子で云った。
五
田辺へは自分がゆく。
休之助の、ひらき直ったような口ぶりを、徹之助は不快そうに聞きながした。
イスパニア文にある「十二月、紀伊のくに田辺に着く予定」というのが、はたして今年の十二月をさすのかどうかは、まったく不明であった。ただ、探索の一翼として考えていたのであるが、現に海から浜屋敷へ、怪しい荷が運び込まれ、それが直ちに他へ輸送されていることがわかってみれば、ぜひともその土地を踏査する必要が生じたわけであった。
斧田はすぐに旅支度をし、結城へ向って出立した。
残った者でなお二三の打合せをした。休之助は指令のあるまで、浜屋敷の監視を続けることになり、不平そうに立とうとしたが、そのとき林市郎兵衛が駆けつけて来た。
「花田さんの御家族のいどころがわかりました」
彼はいそいで来たらしく、昂奮した顔つきで、ひどく息を喘がせていた。