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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
四
この五人は界隈でも評判の悪なのだろう、遠巻きにした人々の中から、しきりに万三郎を声援する声が聞えた。
権あにいはすっ飛んだ。
万三郎は腕に自信があった。剣術は念流と小野派一刀流で免許をとっているし、当時はもうすたれていた拳法もやり、柔術も代師範ぐらいはできる。おまけに三男の暴れ者で、少年じぶんから喧嘩はお手のものだった。
――けがをさせては悪い。
そう思うから手加減をしたが、権あにいを投げ、屁十を投げ、信州を投げた。すっ飛んだ権あにいは腕でも挫いたのか地面に尻もちをついたまま、殺されるような声で悲鳴をあげた。
そこまではよかった。じつにあっさりと、きれいにいったのであるが、そこへ三島という巨漢がとびかかり、
「よいしょ」
とがっちり組みついた。
四
その巨大な躯つきから、およそ察しがついていたが、「よいしょ」という掛声で、三島が相撲くずれだということがはっきりした。
万三郎は彼に組ませた。
組ませておいて投げるつもりだったが、相手のくそ力に吃驚した。右四つに組んだ巨躰は千斤の鉄塊のように重く、じりじりと引く双腕の膂力はまんりきのように強靱であった。
――しまった。