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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
三
「こっちは穏やかに話をつけようと思っているのに、その挨拶はなんだ、うぬあこのおれを誰だと思ってるんだ」
「――話をつける」
万三郎が訝しそうな眼をすると、小男の禿が向うから口を入れた。
「つまり、おめえは権あにいの繩張りを荒してるんだよ」
「――繩張りとは、なんの」
「いまおめえの云った稼ぎってやつよ、この辺でやっている稼ぎの繩張りのことよ」
万三郎はははあと思った。
三
万三郎は初めてわかった。
――こいつらはおれにいんねんというやつをつけに来たんだな。
すると急に肚が立ってきた。
――悪いやつらだ。
拾い屋などやっている者は、よっぽど気の毒な身の上の、弱い人間ではないか。こいつらはそういう人々を脅迫して、高の知れた稼ぎから銭を掠めているんだ。
――こいつらはみのがせないぞ。
彼はそう思った。
「おい、勘定をしてくれ」
万三郎は小女を呼んだ。そして、まだ喰べもしない飯の代を払いながら、権あにいに向ってにこっと笑った。
「初めからそう云えばいいんだ、まわり諄いことをするからわからねえ、さあ、話をつけるから外へ出てくれ」
「外へ出ろって」
「そのほうが手っ取り早いっていうんだ」