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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
三
「おどかすんじゃない、だから用心しろと云ってるんだ。おまえ自分でそう思わないのか」
「それは少しはあれですが」
と万三郎は不平そうに云った。
「しかしそんな人間離れのした勘なんてことは信じませんね、また仮にそんなものがあったとしても、私だってそうぼやぼやしちゃいませんよ」
するとつなが、
「どうぞそうお願い致します」
と云って立っていった。
万三郎は睨みつけた。ほんとにぼやぼやしないで下さい、といわんばかりの調子だったからである。
――ようし、みていろ。
と彼は心の中でいきり立った。
明くる夜の九時、万三郎は裏道づたいに加波山神社まで登り、そこで二人とおち合った。そこで秀の忍び装束を着、覆面をして、伝次と二人で貯蔵所に向った。
「また三人なかまができました」
歩きながら伝次が云った。
「信用のできる人間か」
「同じ村の者で、安吉、大作、市太というですが、おらとはみんな幼な友達で、大作は小頭をしているですから」
「もうそれでやめておけ」
と万三郎が云った。
「あとのことはおれの指図するとおりにやるんだ」
「へえ、わかりました」
松林の中を右のほうへくだり、繩梯子で崖をおりた。