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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

二

――ひきうけた、安心するがいいだよ。

二

万三郎は二人に興味をもった。

二十六七も若い妻と同棲している、伝右衛門という男にも、複雑なゆくたてがあるようだ。友吉老人には厄介になったが、老人の身の上はなにも知らない。まえに渡し守をしていて、その舟にそのまま住んでいる、というふうに聞いただけであった。

しかし老人は云った。

――おらが身を持崩して流れ歩いていたじぶんに。

伝右衛門にそう云った言葉から察すると、友吉老人の過去も単純ではなさそうである。その地方は土地が痩せているのだろうか、耕地も農家のようすも貧寒にみえた。筑波颪の吹きすさぶ凍った平地に、どこの村にも小さく古り朽ちたような家が、数少なく、辛うじて地面にしがみついているかのように、ひっそりと肩を寄せあっていた。

冬景色であるためか、気候もひどく凛烈で暴い。道をゆく人も、野良でみかける児女たちも、身装の貧しさはともかく、みな痩せて血色が悪く、顔はとげとげしていた。

――二人はこの土地に生れ、こういう環境のなかで育った、友吉老人はよそへ流れていったらしいが、やはり今ではこの土地に帰っている。

いったいかれらの過去にはどんな物語があるのだろうか。