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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

二

「な、なにを、この、その、てめえなんぞ知らねえからそんな大きな口をきくんだろうが、あのとき三島のあにいはまた眼が昏んじまったんだぞ、まるでめくらも同然てえありさまになっちまったんだぞ」

「そうらとも、まったくらぞ」

二

おちづはぷっと失笑した。

「笑いごとじゃあねえぞ、とんでもねえあまっ子だ、笑うどころの話か、あれからこっち五十日の余もおめえ、こっくりさまのお灸へ通ったんだぜ」

「そうらとも、五十日の余も、こっくりさまのお灸へ通ったんら」

「なんのためにさ」

おちづが云った。

「なんのためだって、ちぇっ」

と屁十が口を尖らせた。

「なんのためだってやがら、へっ、冗談じゃねえとぼけるなってんだ、おめえがまた三島のあにいの頭をどやしつけたから」

「殴ったのは半ちゃんだよ」

「半公、――ああそうか」

「殴ったのは半ちゃんさ、あたいなら頭を叩き潰してやったんだ」

「なんだって」

「あたいなら丸太で叩き潰して、蟹びしおのようにしてやったっていうんだ、半ちゃんは温和しいから命が助かったのさ、お礼でも云いたいっていうのかい」

「このあま、大口をたたきゃあがって、畜生、よくもぬかしゃあがったな、やい、よく聞けよ」