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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
二
荷物を移すようすはなかった。
しかし、江戸から荷を運んで来た人の数は少なくなるようであった。はっきりとはわからないが、人数がずっと減ったように思えた。
――目的の場所は此処ではない、荷を解いて、どこかよそへ移しているのだ。
それでは移し終らないうちに、それをつきとめなければならないと思った。
二
つなはいちど躊躇した。
――江戸から誰か来てからのほうがよくはないか。
そう思ったのであるが、そのあいだに荷を移されてしまってはどうにもならない。もしもその想像が当っているとすれば、なにを措いても、移している先を知る必要がある。
――危険は始めから承知のうえではないか。
もちまえの気性で、すぐに決心をし、身拵えにかかった。
葛西屋へは近在の百姓の娘ということで泊っていた。自分の姉が古木家の機場の織子になっているが、病気にかかって寝ているので、自分がみまいに来たのだ、という口実であった。
宿の者は疑うようすはなかった。そういう客は常に二人や三人あったし、つなの人柄のよさも好かれたようで、毎日みまいにゆくといって出歩くのにも、なんの疑念も持たれなかった。
その日、つなは姉の肌着を替えにゆくと云って、風呂敷包を抱えて宿を出た。