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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
三
少しの仮借もない、力いっぱいの思いきったやり方であった。
おちづは抵抗をやめた。
――いまなにをしてもだめだ、温和しくして、隙をみて逃げるよりしようがない。
そう思ったのである。
中年増が男を制止し、おちづを慰めながら、一方ではそれとなく威すようなことを云った。おちづを伴れて来た老婆が、おちづの身の代金として、もう二十両という金を持っていった、とも云った。
――証文もちゃんと取ってあるんだよ、おまえの躯はもうおまえの自由にはならないんだからね。
おちづはなにを云われても返辞をしなかったし、また聞いてもいなかった。
隙があると逃げだそうとし、そのたびに捉まって折檻された。相手は金にするつもりだから、殴る蹴るの乱暴にも限度がある、決して傷をつけるようなことはなかった。それがおちづにわかって来た。
「あたししめたと思ったわ」
とおちづは自慢そうに云った。
「どんなことをしたって、決して傷をつけたり殺すようなことはない、どんなに暴れたって大丈夫だって」
おちづは徹底的に暴れた。
半次と金杉で別れた夜、彼女は三島と屁十のために、危ないめにあわされた。そのとき、女の躯に弱い部分のあることを知らされたので、暴れ方はまさに徹底的であり、「山猫」