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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

三

「半ちゃん、あんた船宿へはいったんですってね」

おちづがそっと半次を見た。

三

「うん、――仙台河岸の船源ってうちだよ」

半次は眩しそうな眼をした。

「あら嬉しい、仙台河岸の船源さんなの」

おちづは二度とびあがった。すると髪にした花簪のびらびらが、美しく揺れた。

「花田さんの旦那は、もっとまじめなしょうばいをしろって云うんだ、商人の店へ奉公するとか、大工か左官、指物職なんぞでもいいっていうんだ、けれど、――おいらあだめだ、おいらにゃそんな堅っ苦しいこたあ向かねえんだ、それは自分がよく知ってるんだから」

「そうよ、半ちゃんにはそんなの似合わないことよ」

「だからおらあ船宿の船頭ならやるっていったんだ、金杉にいるじぶん、舟は漕いだことがあるし、舟は好きだから、――」

半次はちょっとおちづを見た。

「そうしたら花田の旦那が、――まえから御贔屓だったってよ、――船源へ自分で伴れていって、頼んでくれたんだ、慥かに預けた、まちがいのないように、腕のいい船頭に仕込んでくれ、ゆくゆくは株を買って船宿をもたせてやるんだからってよ」

「まあいいこと、それじゃあ半ちゃん船宿の旦那になるのね」