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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

七

休之助は冷笑した。

「謀反人どもにこれこれと話して、この小屋のことを教えることもできるぞ」

「――ああっ」

伝次という若者は絶望の呻きをもらした。休之助は持っていた刀で、ぱちんとするどく鍔音をさせた。伝次はぴくりと首をちぢめた。

七

休之助は充分に伝次をおどしつけた。

それは予期以上の効果があったようだ。伝次は田舎の若者らしい朴訥さと正直さで、騙されることも容易だったろうが、話を聞いて理非がわかれば、これまたすなおに、自分の悪いことを認めたようであった。

――これでよかろう。

休之助はそう思って、

「まず夕食を済ませようか」

と云い、万三郎や又平に眼くばせをした。

又平が裏の筧へ手足を洗いにいったあと、炉端へあがった休之助は、弟の耳になにごとか囁いた。

万三郎は頷いて云った。

「――承知しました」

やがてつなの給仕で、かれらが食事を始めると、土間で伝次の忍び泣く声が聞えはじめた。

それはみえも外聞もなく、切々と迫るような声であった。自分が軽はずみで、ばかだったこと、もう逃れるみちはないし、なにもかもおしまいだということ、――それを充分に認め、諦めようとして、諦めきれないという気持が、そのまま声になって出るような感じであった。