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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
四
「――ふしぎなことをする人物だな」
「姐さんも困っていますわ、義理も悪いしなんだか気持がおちつかないって、――ですからお手当はそのままちゃんとしまってあるんですのよ」
万三郎は渋い顔をした。
――この人物だけが未解決だ。
蕨めしで辛きめにあっているので、彼としてはその正体が知りたいし、できることなら対決したい相手であった。
――だが、まあいいだろう。
と万三郎は自分にいった。
――もしかすると将来、意外なところで会うかもしれないし、そうでないにしても、一つくらい解決のつかない事のあるほうが、含みがあっていいかもしれない。
「あの船の老人を思いだしますねえ、花田さん、じゃあない吉岡さん」
向うから斧田又平が呼びかけた。
「鬼怒川べりの繋ぎ船にいた友吉爺さんですよ、どうしていますかね」
「さあね、あのまま伝右衛門の家にいるか、それともまた船を繋いで、独りで暢びり暮しているでしょうな」
結城の町の「大めし」という飯屋、そこで会った古木家の下男の虎造、そんなことが次つぎに思いだされた。また例の金杉の権あにいの子分の、三島や屁十の話が出て、半次が腕捲りをした。
「あの二人の野郎、こんどどっかで会ったらものも云わずに殴りつけてやる、二人とも手か足をぶっ挫いてくれるから」