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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
二人つな
一
二人つな
一
家のようすがわかったらすぐに来る。そう云ったままつなは姿をみせなかった。
三日たち、四日たった。
――なにかあったな。
万三郎は不安になってきた。
つな自身が詳しい事情を知らない、というのだからしようがないけれど、万三郎にはまだ聞き足りないことがいろいろあった。
つなは本所へ隠れたと云った。
休之助に云いつかって、二日のあいだ、その村田という家に隠れていた筈である。しかし、彼女は浜屋敷の変事を知っているし、長崎から出て来た万三郎に、少年を使って危険を知らせた。
――増六へ逃げろ。
捉まると命が無い、と少年に告げさせた。
本所二つ目にいたとすれば、そんなことはできない筈である。彼女は村田という家からまたぬけ出したのだろうか。それとも誰かが知らせでもしたのであろうか。
「わからない、つな自身に訊くよりしようがない」
万三郎は首を振った。
「それよりこの包だ」
彼はつなから預かった風呂敷包を見た。
その中にはなにか調書のような物が入っているらしかった。触ってみた感じでは、幾冊かの、綴じた書類のようであった。つなの話が事実だとすれば、それは花田の兄と休之助とで、半年ほどまえから調べていたというその調書だろうと思えた。