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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
五
こう云ったそうだ、しかし、もしこれが評判になると通貨の混乱をきたすから、このことはまだ誰にも云ってはいないというのだ」
「休之助さんはそれをどう解釈したんですか」
五
「彼はすぐ私のところへ来た」
と徹之助は続けた。
休之助の注意をひいたのは、現在どこの鋳造所でも使っていない特殊な技術、という点であった。
――これは単に偽造貨で儲けるためではなく、これを広くばらまいて、経済界を混乱させる目的ではないだろうか。
つまり不正な利得のためではなく、もっと大きな、政治的意味をもっているのではないか、と考えたのである。それにはまたべつに理由があった。休之助はそういう意味を述べてから、一枚の紙片を出して兄に見せた。
――六十日ほどまえに、偶然こういうものを手に入れたのです。
それはかつて見たことのない、まったく珍しい質の紙で、和紙にも唐紙にも似ていなかった。上下が截ってあり、左右は漉き放しで、薄い上品な卵色をしていた。
「これがそれだ」
徹之助は調書の中から、その紙片を取りだして見せた。
兄の云うとおり、それは万三郎も初めて見る珍しい紙であった。そして、四つに折ってあるのを披いてみると、それにはどこのやら知れぬ異国の文字で、かなり長い文章がきれいに書いてあった。