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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

五

個人であるか、それとも集合体であるかはわからないにしても、背後になにものかのいることは、疑う余地がないと思われた。

「これまで、手を替え品を変え、渡辺蔵人を訊問してきた」

と徹之助は云った。

「だが、彼が詳しいことを知らないと云うのは、事実のようだ、これまで彼は、ときどき覆面した或る人物と密会して、その命令によって動いていたらしい、そこで、まずその覆面の人間に手掛りをつけてみたいと思う」

五

「わかりました」

万三郎がいそいそした。

「お呼びになったのは、つまり私にその人間を捉まえろというわけですね」

「まあおちつけ、――」

徹之助は弟を制して云った。

「渡辺の口ぶりでは、その男は枢要な位置にいる人間のようだ、おそらく、その料亭へ来るときには、蔭に護衛者が付いているだろう」

「そんな者の五人や十人」

「うるさい、おちついてよく聞けというんだ」

「はい、――よく聞きます」

万三郎がかしこまるのを見て、徹之助はちょっと舌打ちをし、それから続けた。

「護衛の有る無しにかかわらず、できるならその男から情報を聞きたい、捉まえるよりは、そのほうが敵の動きや内情がわかる、そう思わないか」