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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

二

「だってあなたは向うの一味でしょ、押籠められていたって、どこからどう連絡がつかないものでもないし、万三郎さまはあのとおり正直な方ですから、あなたが騙すくらいぞうさのないことですもの」

「それならそう思っていらっしゃればいいわ、いまそんなことで口論してもしようがありませんもの、それより万三郎さまをどうなさるんですか」

「御存じないとわかれば宜しいのよ」

つなは縁先から離れた。

「もしやと思って来たのだけれど、なにも御存じないということがわかりましたから、わたくしもうお暇しますわ」

「待って下さい」

かよは縁側へ出て来た。

「これから方法を考えるようでは手後れになります、なにか手配をなすってあるんですか」

「そんなこと御心配には及びませんわ」

「つなさん」

とかよは殆んど哀訴するように云った。

「お願いですから聞いて下さい、万三郎さまをお助けするいい方法があります、どうか聞いていって御相談なすって、あの方を早く助けてあげて下さい」

「いい方法ですって」

つなは足を停めて振返った。

「――うかがうだけうかがいますわ、仰しゃってごらんなさい」

「渡辺蔵人を返すんです」

「――まあ」