轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

「しかも端緒はこの一枚の小粒銀なんだ」

「南鐐ですか」

「みてごらん」

それは約二十年ほどまえの安永初年、金価の暴騰を抑える目的で鋳出したものであった。当時の貨幣価値安定のために役立ったばかりでなく、その質が良いのと、銀貨として最も小さいから持ち歩くために便利でもあったのだろう。南鐐といえば一般にずっと動かない信用を保って来たものであった。

「わかりませんね、これがどうかしたんですか」

「偽造なんだ」

「ははあ、――」

「掛目も違うし銀の含量がずっと落ちる、おそろしく質が粗悪で、とうてい二朱には通用しないものなんだ」

「とするとよく出来てますね」

万三郎はつくづくと見て首を捻った。

「重さといい色ぐあいといい、殆んど見分けがつかないじゃありませんか」

「銀座に和泉屋次郎兵衛という両替商がある、そこの主人が甲野さんと碁友達で、この二朱銀の話が出た、それを休之助が聞いたのだが、そのとき和泉屋が、

――これは普通の技術ではない、偽造貨は自分たちが見ればすぐわかるが、これは専門家にも見分けのつかないほどうまく出来ている、なにか従来にない特殊な鋳造法でやるらしい、これだけ精巧な技術があるとすると、よほど多く出廻っているとみなければならない。