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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

少年たちは圧倒された。

少年たちは女にはかなわなかった。年がもっと違っていればよかった、同じ年頃だと女のほうがませている。はっきり意識はしないが相手の胸や腰のやわらかいふくらみが、本能的に「かなわない」ものを感じさせた。そして少女のほうでも、本能的にそのことを知っていた。

「おまえかい、通さないっていうのは」

おちづはいちばん大きな少年を見た。少年は赤くなって、吃った。

「それがどうしたい」

「おまえなんだね、名前を聞かしとくれ」

「女のくせに、ちぇっ、女のくせに」

「名前を聞かしとくれってんだ」

おちづはたたみかけた。

「こっちが名乗ったんだから名乗ったらいいだろう、半ちゃんは井伊さまの御用だから通るよ、おまえはあたしが相手になってやる、名を名乗ってからやろうじゃないか、あたしゃ逃げも隠れもしないんだから」

そしてさっと裾を捲った。

右手で半次を押えたまま、左の手で裾をさっと捲った。

少年たちは胆をつぶした。

捲った裾から、太腿までがむきだしになった。

脛はまだ細いけれども、太腿のあたりは肉がのりかけていた。眼のさめるほど白い、なめらかな皮膚の下にはすでに脂肪が溜まって、つややかにまるく張っていた。