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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

六

者に申しつけてもらいたい。

そういうのであった。

「わかりました」

「忘れてはならんぞ」

徹之助は繰り返した。

「渡辺がその男に会うのは月に二度、十一日と二十一日だ、臨時に用のあるときは、その男から小田原河岸の下屋敷へ知らせて来る、十一日と二十一日は、用の有無にかかわらずその料亭で会う、これが二人のあいだの規約だ、――いいか」

「向うは疑ってかかるぞ」

休之助が戒告を加えた。

「むやみに質問したりすると曝露するから、初めはただ云うことを聞くだけにするんだ、よほど注意しないとあべこべにやられるぞ」

六

「私だってそのくらいのことは承知していますよ」

万三郎は休之助に云った。

「まあ休さんは黙って見ていて下さい」

「どうかそう願いたい」

休之助が云った。

「おれだっておまえがそれほど凡くらだとは思ってやしない、相当なことができるとは信じているよ、ただ一つ悪い癖があるんだ、――肝心な事だけやれば立派なんだが、おまえとくると必ずよけいな事にちょっかいを出す、つまらないようなところで情にほだされて、肝心な事をお留守にする、そいつが三郎のなによりの欠点だ」

「わかってますよ」

「本当にわかってもらいたいね、今日だって呼ばれて来たのに、あんな庭の隅のところで」