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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

が活きていた。いちどそれが解放されると、世間の他の恵まれた子供たちよりも遙かに純粋で、さらに感動しやすい柔軟さをもつものであった。

「ふしぎだなあ、赤い雀だなんて、おいらまだ聞いたこともありゃしねえぜ」

「なにか悪いことが起こるのよ」

「夏じぶんからだね」

と半次が云った。

「増上寺の山内で初めて見たっけ、それからも三度ばかり山内で見たっけよ、どこから飛んで来やがったのかな」

「なにか悪いことが起こるのよ」

とまたおちづが云った。

「なにか大水とか、大きな火事とか、地震とか、饑饉かなにか起こる前兆よ」

「ちぇっ、女って云うことは定ってやがら」

「ほんとうよ半ちゃん、こんなのを昔から前兆っていうのよ」

「どうかして捕れねえかな」

半次は木のそばへ、忍び足で寄っていった。

雀はしきりに鳴き、枝から枝へと、気ぜわしくとび移り、鮮やかに赤い翼を揃えたり、小賢しく首を傾げたりした。

「畜生、じっとしてやがれ」

半次は小石を拾った。

すると、ふいに「ひゅっ」という音がし、白い物が飛んで来て、雀の羽根に刺さったとみると、雀はするどく鳴きながら、ばたばたと枝から落ちて来た。

半次は吃驚してとび退いた。