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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
四
真崎の渡しを舟で渡りながら、ふとそういう反省が起こった。
万三郎はよく休之助と喧嘩をする。徹之助にも叱られてばかりいるし、たいていのばあいつなも彼の味方ではなかった。
結城で古木邸からつなを救い出したあと、休之助がひどく怒った。大事の任務をよそに、つなを助けるなどというのはみれんだ、というのであった。つなもその意見に賛成であった。
――侍は任務が第一。
自分のことなど捨てておいてくれるほうが、むしろたのもしいと思った。
それ以来、(かよの問題もあるが)事毎につなは万三郎をやりこめるようになった。ふしぎと気にいらないことばかり眼につくのである、特に、彼の人情に篤いところが不満だった。敵の一味であるかよについてはもちろん、観音谷で石黒半兵衛を助けたことなども、本末顛倒としか思えなかった。
――大事のまえには親を滅する覚悟がなければならない。
それは武家道徳の根本的な条目の一であり、つなもそのように育てられて来た。まして、休之助のきびきびと割切った態度を見ているので、どうしても万三郎のすることが歯痒く、みれんがましいようにしか受取れないのであった。
「あんまり頑なだったかもしれない」